興味深いCD・レコード


 音楽誌等をみればわかるように、今や音楽産業におけるCDの流通量というのは大変 なもので、毎日溢れんばかりの新譜が発表されています。
 それら未知なCDに接する手段として主だったものを挙げれば、『購入』『人から借りる』 『エアチェック』などがあります。 しかし、音楽はその享受のために時間を消費する文化ですから、 いかなる手段をもっても新譜の洪水を私達個人の耳でせき止めることは困難を極めます。
 とはいえ、音楽の要は量ではなく質ですから、出会ったディスクの絶対量が少なくと もそれが良質のディスクであれば納得のいく音楽生活が送れるはずです。アナログ 時代には"レコードが擦り切れるまで聴き込んだ"という表現がありましたが、 こんな経験は素敵だと思いますし、レコード鑑賞(音楽鑑賞)のあるべき姿だと思います。
 CD全盛の今日においてもそのような魅力を持ったディスクは存在するわけで、 実際僕のCD棚(もちろん総枚数は限られたものですが)にも、長くつき合えるCDや面白い CDがいくつかあります。それらを皆さんに紹介するべく、このページを作成しました。
 僕と同じように、皆さんのCD棚にもお気に入りの盤があることでしょう。おすす めの盤、みんなに聴いて欲しい盤がありましたらぜひお知らせください。とはいって も、『秘蔵の名盤』として自分だけが知っているという感覚もCD所有の楽しみですから 難しいかな。
 このコーナー、ジャンルは問わず、よい物はよいというスタンスでいきたいものです 。

 現在の音楽産業の特色として,『使い捨て音楽』の氾濫があると思います。 安易なプロデュースのもと、数々のCDが誕生し、TV等のバックアップにのった いかにも売らんがなの"商品"がそれこそ飛ぶように売れています。 内容がいいから売れるという見方もできますが、 そのわりにはすぐ飽きられて中古屋に出回るケースが多いようです。 今日新しいものは、明日古いとでもいうかのようです。産業音楽というか、 商業的な視点からみればこれでいいのかもしれませんが、音楽文化を 育むという立場をレコード会社は踏まえるべきです。
 かような音楽がすこしぐらいあってもよいが、それが日本の音楽界の主流になって しまっては寂しいですよね。



分かりやすいようにジャンル分けはすることにします。
とりあえず、今は各ジャンル一枚ずつ。


  HR/HM (including extreme music)


 The Dying Truth / CIANIDE{GRIND CORE 89806-2}

 VENOM、SLAYER、METALLICAなどに影響を受けたというシカゴのデスメタルバンド、 サイアナイド(青酸カリの意)の2nd。ミディアムテンポが中心でサウンドは恐ろしく 暗いが、歯切れのよさを持ち、加えて録音状態がなかなかよいため、聴きやすい。とは いっても、本当に怖い音ですから泣かないように気合いを入れて聴かなければならぬ。 Voはデス声ですが、変に力まず淡々としている。決して早口ではないのだが、 歌詞カードをみながら聴いてもどこを歌っているのかわからない。終始『ダ〜イ、 ダダダ〜イ』といっているかのようだ。Drのスネアは『ポーン』という快音でこれが なかなかおどろおどろしい雰囲気作りに貢献している。ジャケットも悪趣味で怖い。 外盤のみ。



  PROGRESSIVE ROCK


 The MARTIAN CHRONICLES / SOLARIS{GONG HCD 17819}

 ハンガリーのバンド。1995年の作品。原題は英語ではないので注意。 ジャケットが変。サウンドの方はハンガリアンプログレとでも呼ぼうか、 シンセサイザーとフルートを中心に全編インストでSFチックな音世界が展開される。 アナログシンセのようなエグイ音、オルガン、ドラム、ベース、コーラス、 が分厚い空間をつくり、それはまるで火星をおおう濃いガスのよう。 ぼんやりとしているようだが、その色模様は時々刻々変化していき、 不可思議な様相をみせる。 その空間を軽やかに舞うフルートは時にアグレッシヴですらあり、 あまりうまくはないがクドイぐらいの泣きギターも加わって、 十分に個性的なバンドサウンドに仕上がっている。 タイトルを直訳した「火星年代記」という名前の日本盤が出ていたのをどこかで見たことがある。 ハンガリー盤についてはアマゾンで購入可能。

  JAZZ・FUSION


 PLAY BACH 2000 / Jacques Loussier {KAZCD 222}

 あの大バッハをピアノトリオで演奏することを始めた張本人、ジャックルーシェの 最近の録音においてもっとも傑出した作品。G線上のアリア、トッカータとフーガニ短調 、ブランデンブルグ協奏曲等のポピュラーな作品が並ぶ。いずれも緻密なアレンジと優 れた演奏技術が光っており、原曲を知る知らないに関わらず楽しめる。特にベースパー トが個性溢れるフレージングでおもしろい。特筆すべきは、その録音の素晴らしい点だ 。どのパートも原寸大で、輪郭はくっきり、そして肉付きのたっぷりとした音に 仕上っている。録音の良さを存分に味わえる曲として勧めるのは、パストラーレハ短調 、目覚めよと呼ぶ声あり あたりだ。前者はベースソロが大きくフューチャーされており 、弦が指で弾かれブルンブルンとうなる感じや、弦と指盤が擦れ合う音までが克明に 記録されている。うまく再生すれば、目前でソロが繰り広げられているような至福の 喜びにひたれるだろう。後者は、ピアノの高音をポーンと鳴らした時の太いが 澄みきった音が大変に魅力的である。
 ここで紹介したアルバムタイトルは英盤のものである。日本盤は『PLAY BACH TODAY』 というタイトルで売られているが、曲数が少ない。全く別の盤(版)だと考えてよいだろう。 具体的に知りたい方はメールください。 英盤は2枚組で価格が2000円前後。はっきりいってむちゃくちゃお買い得。 録音も英盤の方が高域が滑らかでふくよかな感じがする。これは本当においしいCDだ。


  CLASSIC


 FAURE・DEBUSSY・RAHABARI / VIENNAFLAUTISTS  {DICD-920255}

 話題の廉価盤レーベル、ディスカヴァーのものです。低はコントラバスフルートから 上はピッコロまで、総勢8人のフルート吹きによって演奏される美しい旋律の数々。ド ビュッシーらのロマン溢れる作品は当然素晴らしいのですが、このCDでの一番の収穫は 最終トラックの『Beirut』という現代曲です。RAHABARIというペルシャ出身でオースト リア在住の作曲家が書いたようです。誰かこの人知りませんか?
 曲は組曲になっており、あやしい和音やリズムがいっぱいでてきます。廃虚と化した 都市を、獣たちが飛び交うような雰囲気を醸し出しています。床を蹴ったり、各種の フルートをたたいて出す音程を持ったパーカッシヴな音で和音を展開していくところな ど圧巻です。わけの分からない現代曲が多いですが、この曲は前衛的でありながらも 素直に楽しめるとおもいます。録音も抜群です。しかもディスカヴァーレーベ ルなので安価。オンラインCD通販CDNOWでは$5程度。超おすすめ。


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