• 一日目 2000年3月8日(水)快晴

    ◎出発
    「どこか、とおくへいきたい。どこかとおくのしらないところへ。」
     卒業研究やらなんやらをやっていると、気が付けばいつもこんなことを考えている。 いくらサボリぐせのある僕でも、さすがにまとまった時間ふらりと遠くへ行くことなどままならず、 いつもこんなおもいで頭はいっぱいだった。ただ走ることを楽しむなら、 いつもの峠道を流すだけでも事足りるが、それは所詮持続時間2〜3時間の桃源郷、 まるでモラトリアム人間の現実逃避のようだ。もちろんほどほどの解放感は得られるのだが、 やはり「どっか行きた〜い」欲求はつのるばかり。
     3月になり、卒研も一応終了し、サークル追いコンの練習・本番(軽音学部、4日間も続いた!!) も無事終えて、ようやくまとまった時間がうまれる。さぁ、つもりつもった欲求を爆発させよう。 いざ四国へ!!

     予定では朝6時頃には出発したかったのだが、前日いろいろあって帰宅がかなり遅くなり、 起きたのは9時前。無理すれば予定どおりに決行することもできたけれど、 寝不足は事故のもとだろうし、第一快適なツーリングが楽しめないだろうから、 寝たいだけ寝た。ようやくひらいた目にとびこんでくる天窓の風景はなかなかの興奮をもたらしてくれた。 非常にいい天気だ。天気がいいとそれだけでツーリングは楽しい。
     とりあえず歯をみがいた。冷蔵庫をみると、なにもない。牛乳すらなかった。 朝食を食べることが健康の基本であることは知っているが、飲まずくわずで出発することにする。 寝坊はしたが、荷造りだけは前の晩に済ませておいたので、バイクにつみこみ、オドメーターを記念撮影。 今回のツーリングはオドメータ20323kmから始まる。

     暖気運転をほどほどにすませ、いつものようにソロリと出発。 ヨシムラのデジテンに目をやると時刻は9時15分頃を表示していた。まず近所のスタンドに行って給油する。 初めてのカード給油にちょっと緊張した。やってみれば非常に簡単、小銭がいらないのでかなり便利。 ツーリング先で思わぬ出費があるやもしれぬから、なるべく現金は使わないでおこうと思い、 今回のツーリングではガソリン代をカードで支払うことにしたのだ。サインするのがてれくさかった。

    ◎基山から佐賀関港まで
     まずは夜須高原を目指す。渋滞するR386をパスするためだ。前走車がいなければなかなか風景もよく、 気持よく走れる。エンジンも暖まっているのでアクセルを開けるのが楽しい。バイパスを経由して本線に 合流。多少交通量があるなかを流れにのって日田市へ。交通量が少ない早朝に出発すればあっというまに日田市だが この日は多少時間がかかった。そしてR210へで湯布院へ。ここで県道にのっかり、 雄大な由布岳のもとを走る。ここは登坂車線があるので、なかなか快調に走れる。 タイヤを鳴らして走るクルマをパスすれば前走車はしばらくいなかった。う〜ん最高。快調快調! その後R500経由で別府市内へ。結構な下り勾配をもった3車線路が新鮮である。ここで複数の白バイを目撃。 やはり白バイはかっこいい。キチッとしたフォームは美しいと心底思う。車種はあたりまえにVFR750P。 はやくスズキの久々の白バイ、GSF1200Pにお目にかかりたい。

     大分市へ向け小倉街道をはしる。湾岸のくねった道でしかも片側2車線、という区間があり、 福岡にはなかなかないシチュエーションが楽しい。そういえば、鹿児島にもこういう道があった。 鹿児島の方が区間距離は長くて楽しめる時間も長かった記憶がある。

     大分市街地から佐賀関へは大在大分港線を走った。片側3車線もある大きな道路であるが、 交通量がおおく、かつ信号にもよくひっかかった。途中、大野川大橋有料道路を通るはめになってしまった。 九州エリアの地図はもっていなかったので、迂回ルートを検討するのも面倒だったし、 通行料はわずか70円だからまぁいいか、という感じ。その後道に迷ってしまい、 地図を参照するためにコンビニにたちよる。立ち読み料としてジャムマーガリンパンとペットボトルのお茶を購入。 強い風にふかれながら、バイクの傍らでパンを口にほおりこむ。最近こればかりだ。 コンビニに詳しい地図が置いていなかったので、結局目的地である佐賀関港と現在地の相対関係はわからずじまい。 人に聞けばいいのだがめんどくさかった。出発してフラフラしていると、「佐賀関」の標識があり一安心。 R197をひた走る。それにしてもこの日は風が強い。ちょっとしたワインディングなのだが、 前走車がいるので片手運転でラクチンしていると瞬間的な突風にあおられて ガードレールに飛込みそうになった。いかんいかん。

    ◎九四国道フェリー乗船
     のんびり走っていると佐賀関港に到着。九四国道フェリーはすでに13:00便が出港直前だった。 フェリーの人から、「いそいで手続きをしてきなさい」と言われ、あわてて手続きをする。 料金は客室2等が610円、自動二輪750cc以下が910円となかなか安い。 福岡から四国にバイクで行くなら、この九四国道フェリーがおすすめだ。 港付近には関サバ関アジを食べさせる店もちらほら。

     フェリーにバイクを押していれると、乗組員の方が手際よくバイクをロープなどで固定しはじめたので そそくさと乗客室へ。年輩の団体客が多く、ごろ寝できるスペースは占有されていたし、 僕のフェリー経験は乏しく船で目にするもの全てが新鮮なのでフェリー内をうろうろした。 2階の展望室のような場所のソファーに空きがあったのでそこに腰をおろす。窓の外をみれば景色が動いていて、 船がいつのまにか出港したことを知った。さようなら九州。また会う日まで。佐賀関の煙突が小さくなる。

     大海原をつきすすむフェリーというものは、なかなか旅の雰囲気を盛り上げてくれる。 初めての四国、どんなところだろう、かなりわくわくさせられる。それにしてもこの日は素晴らしい青空だった。 海も青い。展望室の窓ガラスは潮をかぶってあまりきれいとはいえなかったので、 デッキにでてじかにこの目で感じ取ろうとおもったが、 ドアを開けたとたん潮まじりの風が全身に吹き付けたのであわててドアをしめた。 カメラを手に持っていたので、かなりビックリした。風がつよけりゃ、波も荒い。 沖合にでるにつれてさらにハードになる。船が揺れ、展望室のガラスに潮が直接ふりかかる。 おお、これが太平洋か!!!そばにいたおじさんが、「クルマをおいとけばきれいになる」と大まじめに 言っていたのがおかしかった。ステンレス製のクルマをプレゼントしたい。気掛かりだったのが、 波に揺られてバイクが倒れていないかということ。ギアは1速に入れたが、 指定された場所の関係でハンドルロックができなかったのでなおさら不安になる。結局大丈夫だったが。

    ◎四国上陸
    三崎港  多少船酔い気味になりながらも70分の航海を終え、船は四国は愛媛県、佐田岬半島の三崎港に到着した。 こじんまりとした港で、なかなかよい。気が付かなかったが同じフェリーに数人のライダーが乗船していたもよう。 数人でバイクを囲んでいる。僕は一人でバイクにまたがり、適当な場所へ移動して船をバックに記念撮影。 そして念願の四国ロードを走りはじめた。

    ◎佐田岬メロディーライン
     最初に走ることになったのは、日本一ながい佐田岬半島の尾根づたいにのびる通称「メロディーライン」。 緩やかなカーヴとアップダウンが続き、左右には四国の美しい海が展開する素晴らしい2車線路である。 中央線は当然のように白破線で見通しもよいので自分のペースで走れる。いろいろな情報によれば、 速度取締が頻繁に行なわれているそうなので飛ばし屋さんは心してください。 この日は1台のパトカーを路肩に確認したのみだったが、覆面らしいセドリックも停車していた。 この道は交通量も少ないので、制限速度付近で流していても後ろからつっつかれることはないみたいだし、 飛ばせばアンチソーシャルもいいところの速度が簡単にでてしまうので、ゆっくり走ることをおすすめする。 とくに右手には複雑に切り立った海岸線と段々畑がおりなす風景が次々にあらわれ、僕ごのみ。 四国最高!!もしスケルトンヘルメットがあったなら、対向車の人は僕をみて「なんだこいつ、へらへらして。」 と思ったはずだ。
     このメロディーライン、四国らしい風景が次々と展開し、 かつ最高の路面状況を距離にして38kmほど楽しめるので、四国上陸後の第一歩としては最高の道だと感じた。 メロディーラインから四国ツーリングをはじめる、という意味でも先ほどの九四国道フェリーはおすすめできる。

    ◎八幡浜市〜三瓶港
     八幡浜市街をR197で抜ける。せまい2車線路で、クルマの流れは良いとはいえない。 ツーリングマップルに「常時渋滞」とあったのはなるほど本当だ。しかし、 みかん箱をつんだトラックやせまりくる山肌などが四国チックで旅気分を味わえてたのしい。 郷に入れば郷に従え。遅いペースもその土地の生活の一部であると考えれば苦痛ではなくなる。 次にR378を少しばかり走り、県道25〜26と走り継ぐ。ここまでくると、 慢性的な渋滞とは無縁になりそこそこのペースが保てるようになる。山間を走る感じ。のどかだ。 途中、おそらくシートベルトの取り締まりと思われるようなことをやっていたが、 違反チェック役と思われる人が私服を着ていたのがおもしろい。
     そして三瓶港に到着。小さく静かな漁港で、この時はほとんどの船が停留しているようだった。 ここからは海沿いにR378を走ることにする。地図で見る限り、 国道マニアの間で名高い四国3桁国道、つまりせまい1車線で所々に落石があるような走りにくい道 ではないかとの懸念もあったが、その先の明浜町にすれてないひなびた漁村が残っている、 との情報を得ていたためにこの道を選んだ。昔ながらの生活風景に出会うことは今回のツーリングの おおきな目的のひとつであるからだ。

    ◎R378(三瓶〜明浜〜吉田町)
     険しい3桁国道を覚悟していたのだが、そんな心配は無用であった。 三瓶町前半部分は1.5車線路と2車線路が混在しているが、交通量は少なく中央線は美しい白破線。 快調なペースで進むことができる。特筆すべきは海とイケスのコントラストであった。 この日は非常に空気が済みきっていて、もやなどいっさいなかった。 至極クリアな視界で四国の海をみることができたのだが、すごく深みのある濃い青色をしていた。 そして、イケスのオレンジ色の浮きも非常に鮮やか。写真集でみるようなしっかりした色の対比が、 素晴らしかった。この時点で四国にノックアウト気味。もう最高。写真におさめるべきか、 ともおもったが、このような風景にはまためぐりあえるだろうと考え、ひたすら走り続けた。
     運転があるのでまじまじと風景を楽しむことはもちろんできないが、 自分をとりかこむ空間の美しさは雰囲気として感じ取ることができる。 その空間・空気を切り裂いて走る快感はオートバイならではのものだろう。 カローラツーリングワゴンではここまでの感動は得られない。
     快調にすすみ、三瓶町と明浜町の境に来ると、1車線の狭い道になった。標高は結構あり、 下の方から遥か彼方の水平線まで海がひらけているのがわかる。狭くブラインドコーナーの連続ではあるが、 道自体はそんなに走りにくいものでもない。ただ、僕が通った時はエンジンオイルが延々と道に線を書いていた。 おそらく4輪がたらし続けたのだろうがこれが結構な量で、そのみたこともないクルマのエンジン焼き付きを 他人ながら心配するほどであった。踏めば当然滑るので、オイルの線には神経をつかった。
     路上オイルが目立たなくなる頃には道は2車線路になった。R378明浜町側はアップダウンが激しく、 かつ適度にタイトなコーナーが連続、しかも路面状態がすこぶる良いので非常に楽しく走行可能。 中速コーナー好きにはたまらない。中央線はやはり白破線。福岡や佐賀、 大分はどこもかしこも黄色線でよろしくないので、これだけでも四国に来たかいがあったというものだ。 R478は交通量が少ないので、車線を越える必要もほとんどないが、 視覚的に黄線よりも白破線のほうがここちよいし美観をそこねないものだ。 結局バイク乗りにとっては、あたかも足枷がはずされたかのような解放感がある。
     途中漁村も通過したが、残念ながら期待に胸ふくらませたイメージとは異なるものであった。 さすがに昭和30年代の面影を現代に見い出すのはなかなか難しいのだろう。
     しばらく走れば吉田町からR56にのりかえ宇和島市に。

    ◎宇和島市〜宿毛街道〜御荘町(R56)
     R56で宇和島市に入るとさっそくバイパスがあらわれる。自動車専用道路らしく、 自転車や歩行者は通行禁止とあった。流れの良い2車線路で、途中長いトンネルがいくつか連なる。 宇和島市を快適にパスできるわけだ。今地図を見返してわかったのだが、 このトンネルの一つはなんと宇和島港の下、つまり海底を通っているのだ。そのときは気付かなかったが、 知っていれば感慨もひとしおだったろう。バイパスが終わると本線に合流しほどほどの流れをキープする。 この頃になると日がだいぶ傾いてきた。この日は西海町の高茂岬で洛陽をおがむ予定だったので気持があせる。 海岸線にそったなだらかな道をひたはしる。景色はなかなかよい。 しばらく走ると高知ナンバーのZZRにおいついた。おそらく日帰りツーリングの帰りだろう。 かってにつるんで走る。御荘町中心部に到着すると、僕は西海町の方に進路を変えるのでZZR君とはさよなら。 お気をつけて。

    ◎西海町ぐるっと一周
     西海町に行くには西海道路という260円の有料道路が速くてよさそうだが、 金はなるだけつかいたくないし、もっとマニアックなワインディングにも出会いたいから、 県道293を利用した。ツーリングマップルでは特におすすめルートに指定されているわけでもないが、 路面はきれいだし白破線2車線路で展望も良い。途中スポーツカー(?)ともすれ違った。 有料道路にくらべればぱっと見遠回りだし、 かつ地図で見るよりもクネクネしているので結構時間がかかって県道34へ。 有料道路の終点はこの道につながるのだ。ここから高茂岬までも路面状況良好の白破線2車線路。 しかも交通量は激少であった。快調に飛ばしているつもりだがなかなか岬をたぐりよせることができない。 直線距離よりもはるかに長いようである。太陽がいまにも沈むのではないか、と気持があせる。 しかも実走距離がこれほどあるとは思わなかったので、残り少ないガソリンを承知で給油しておらずそれも気掛かり。 鹿島という島がみえるあたりの景色がきれいだった。 あとでおもえばこの辺りの方が小島が点在して僕好みの洛陽が楽しめた気がする。
     ひたすら走ると県道300との標識が表れた。いままで走っていたのは34だったから、 おやっと思い地図を確認すると、半島を西まわりするのが34号、東まわりするのが300号で、 双方は丁度高茂岬側でかち合わせすることがわかった。つまり、ここが高茂岬か。危うく通りすぎるところだった。 展望台・休憩所のようなものが建設中であった。良くみると岬が海に突き出ていて灯台がたっている。しかし、 そこまでは結構距離がありしかも直接バイクで行くことはできないので、本当の意味での岬部分に到達することは 残念ながらできなかった。ツーリングマップルには「切り立った断崖に砕け散る波、最高の夕陽ポイント」 と記してあったのでかなり期待したのだが。時間があったら歩いていったが、 もう陽はしずむ寸前だったのであきらめた。
     県道沿いからの展望はあまり良いとはいえなかったが、 何枚か写真を撮った。望遠レンズでいいところだけ切り取って楽しむ。洛陽 陽は海の向こうにみえる陸地の山にしずんでいった。あれは九州だろうか。じゃあ、ここは四国。 それだけで満足できる。日も落ちたしガソリンも非常に心細いので町をめざして県道300をはしる。 ここも白破線2車線路である。ヘアピンやらいろいろ変化があって面白い。 ガソリンが細くなければもっと思いきって楽しめたはずだ。
     しばらく走ると小さな漁港に到着した。なかなかひなびた湾の陸から少し離れたところに、 何艘かの小舟が停留されていて、陸からのあたたかみのある照明にぼんやりうかびあがっていた。 あたりは既にまっくらだったので、ぼんやりうかびあがる小舟がしろいほおのようにおもえ、 非常にいとおしい。躊躇なくバイクをおりてシャッターをきった。できあがった写真をみると、 完全に露出オーバー。ひどく明るくなってしまった。「露出」を「スピード」におきかえれば、 裁判所行き確定なくらいにオーバー。がっくりきた。 こうした経験をしていくうちに、適正露光は体得できると信じたい。
     漁港をすぎると、一車線くねくね路。えらく飛ばす地元チェイサーについていく。 暗いのでスピード感がなかなか。前走車がいると楽だがこういうときにあおりぎみになってゆずられると、 あまり優秀でないGSFのヘッドライト(one headlight)では先がみえずに恐い思いをする。 ゆずってもらったからには、視界から消えないといけないような気がして.......。 98年秋まで乗っていたBandit250に比べると、 GSFはコーナーの先にあまり光が届かないように思う。初めて走る狭い峠ではちょっとこわい。 光軸調整をしてもままならない。GSX750Fの2眼などはどうなのだろうか。
     はしってもはしってもガソリンスタンドがみあたらない。海岸線が複雑なので、 対岸に見える光がどこのものなのかよくわからず現在地を把握できない。標識もみあたらない。 割と正確なGSFの燃料計から、ガソリン残量が絶望的であることが推測できる。かなりあせった。 このときのんびり走るMINIがいたことをなぜか覚えている。 泣きそうになりながらしばらく走ると、R56を示す標識発見!!安堵する。しかも太陽石油発見。 ホッとする。満タンをたのむと、タンク容量19リットルのところ16.8リットルしか入らなかった。 けっこういっぱいいれてくれたのにこの数字で、ガス欠を心配して損したと思った。 ツーリングだと同じガソリン残量でも、より多く走れる。スタンドのおじさんに、バイクは寒いだろう? と聞かれた。そういえば、日が落ちてから急に冷え込んだものだ。四国も寒いのね。

    ◎御荘町で食事
     スタンド(太陽石油節崎給油所)をでて、これからのことを考えるために御荘町の道の駅を目指した。 すぐついたが、なかの休憩所はもうシャッターがおりており、トイレだけを済ます。 なかなか腹が減ったので、食事ができる店をバイクに乗って探すことにする。 御荘町中心街という標識につられて、その方面に行ってみたが店が見あたらないので国道沿いに戻る。 選択肢は2つしかない。さぬきうどんか和食系ファミレス。結局、 安くて腹一杯になれそうな個人経営のうどん屋に決定。バイクを停め、タンクバックをもって店に入った。 讃岐うどんは香川で食べたほうが実感がわくかな、とも思ったがしかたがない。時刻は19時30分ぐらいだが、 客は僕一人のみ。いつもだったらリーズナブルなきつねうどんあたりを注文するが、 おそらく閉店間際でなんだか申し訳ないので奮発して肉うどんの大盛りに決定。850円也。 麺はつるんとしていたが詳しいことは忘れてしまった。覚えているのは、お冷やがおいしかったこと、 テレビで号泣系バラエティーが放送されていたことぐらい。

    ◎山出憩いの里温泉キャンプ場へ
     腹もいっぱいになったので、長居せずに本日の宿泊予定地である城辺町山出憩いの里温泉キャンプ場を目指す。 このキャンプ場はツーリングマップルで知ったのだが、山出憩いの里温泉という銭湯並み料金の共同浴場施設に 併設されているとのこと。風呂に入ってすぐテント泊できれば最高だな、と思い迷わずここに決めた。 御荘町から県道46を北上すればよいのだが、なかなかつかないので心配になった。 県道46も路面状況がよく、夜でも安心して走れる。
     不安になりながらも、施設に到着。時刻は20時30分近い。 メイン棟の外観は城をまねたもので、う〜んと思ったが、共同浴場棟は素朴なつくりでホッとする。 温泉の営業時間は21時までのようで、これまたホッとする。
     入浴料は250円と非常に安く、キャンプ場利用料は400円だった。風呂には地元の方が結構入っていたが、 男湯に関しては2つの浴槽が別々の部屋にあり、僕が入ったほうには先客が一人しかおらずのんびりできた。 お湯の性質のことなどよくわからないが、新しくてきれいだし、虚栄じみた部分もなく好感が持てる浴場だった。 畳の休憩室や食堂なども併設されていて、地元の人が結構利用しているようで、若い女性も目だった。
     風呂からあがるとさっそくテントの設営。テント設営エリアには、 ところどころに照明が配置されており僕のようなテント初心者にはありがたい。慣れない手つきでテントを設営、 銀マットを敷いて今回のツーリングのために購入した寝袋を放り投げる。シーツとシュラフカバーも用意した。 予定では、就寝前にその日の出来事など日記につけるつもりだったのだが、 面倒くさくなったのでその日の大まかなルートと出費だけをノートにメモする。 はじめてのミイラ形寝袋の寝心地は上々。風呂上がりでもあるし、すぐ寝付いたと思う。
     静かな夜だった。少なくとも僕が寝付くまでは。(2000年3月25日しるす)
  • 一日目終わり

  • 2日目日記へ
  • 四国ツーリングトップへ