四国のワインディングを堪能することはもちろん、いまや失われつつある日本の素朴で美しい風景、
農村・漁村での昔ながらの生活風景に出会えるのではとの期待を込めたツーリングである。
普段のミニツーリングではもっぱら走ることだけを楽しみ、
道ばたにバイクをとめてその土地で自然にただよう時の流れに身をまかせることなどめったになかった。
それはもちろん、ただ自由気ままに走っていられることそれ自体が至福の喜びであるからにほかならない。
しかし、今回は初めてのロングツーリングであり、時間の制約はまったくないといってよい。
帰路につくのは、マシントラブルが発生するか、所持金が尽きるか、
あるいはホームシックに耐えられなくなる時である。17日の卒業式も気にはかかったが、
頭から消し去ろう。とにかく、時間はたくさんあるのだ。そこで、今回の四国ツーリングでは、
モーターサイクルツーリングにかぎらず旅の醍醐味である「まだ知らぬ土地を訪れ、そこの風土をかみしめる」
という基本に立ち戻ることを念頭においた。
飯も喰わずに走り続けるいつもの自分は、はたして四国にいるのか、いないのか。
旅を終えた今、それをふりかえるのはなかなか愉快だ。
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